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 まず、記録のために、ニュース記事を引いておきます。

はだしのゲン「閉架」に 松江市教委「表現に疑問」

 松江市教育委員会が、原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を子供が自由に閲覧できない「閉架」の措置を取るよう市内の全市立小中学校に求めていたことが16日、分かった。

 市教委によると、首をはねたり、女性を乱暴したりする場面があることから、昨年12月に学校側に口頭で要請。これを受け、各学校は閲覧に教員の許可が必要として、貸し出しは禁止する措置を取った。

 市教委の古川康徳副教育長は「作品自体は高い価値があると思う。ただ発達段階の子供にとって、一部の表現が適切かどうかは疑問が残る部分がある」と話している。

2013/08/16 12:22 【共同通信】


 閲覧制限に憤り・疑問の声(2013年8月17日/中国新聞)

 「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に求めた松江市教委の対応に、被爆地広島の関係者や島根県の被爆者から憤りの声や疑問視する意見が出た。

 ゲンはことしで連載開始から40年を迎えた。昨年12月に73歳で亡くなった作者中沢啓治さんの妻ミサヨさん(70)は「言論統制をしていた戦時中のような判断」とショックを隠さない。「夫は戦争の悲惨さを伝えるため膨大な資料を調べた上で描いた。子どもたちが自由に考える機会を奪わないで」と話した。

 被爆者で体験証言を続ける島根県邑南町の河野頼人さん(82)も「こんな風潮が広がると、被爆の実態に触れることさえもはばかられるようになる」と懸念を示した。

 広島市教委は、小中高校生を対象にした平和教育プログラムで小学3年向けの教材に採用。「命の尊さや家族の絆を伝える上でもふさわしい作品」とする。原爆資料館前館長の前田耕一郎さん(64)は「原爆だけではなく、戦争や平和を幅広い世代に分かりやすく伝える漫画。功績の大きさも考えてほしい」と話した。

 一方、市民団体「平和と安全を求める被爆者たちの会」(安佐南区)の秀道広代表(56)は「残虐な場面を未発達な子どもに見せるのはよくない。天皇批判がある作品でもあり、閉架によって閲覧の優先度を下げたのは適切な対処だ」と評価した。


 「教育委員会」の名に値しない愚行だし、「陳情」をした市民も愚かというほかありません。

 これが、表現の自由・言論の自由・思想の自由が圧殺されていく戦前回帰への一里塚とならないために、私たち図書館に携わる人間ひとりひとりが声を上げて行かなくてはならないでしょう。

 むろん、私も。
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2013.08.17 Sat l 図書館 l COM(2) TB(0) l top ▲