偕成社のジュニア版日本文学名作選が職場の図書館にあります。
ランダムに鴎外の「舞姫」を取りだして奥付を見てみたら、1985年に発行された第8刷でした。28年前の本ということになります。ページはすっかり
黄ばんでしまい、天・地・のどには
茶色の染みがいっぱいついた状態です。
今どきの華やかなライトノベルやケータイ小説、果てはマンガの装丁に慣れた子どもたちが、こういう本を手に取る可能性は、ゼロとは言いませんが「無きにしも非ず」という程度でしかありません。
先日、国語の教科書で漱石の「坊っちゃん」のイントロを読んだという3年男子が続きを読みたいと言っていたのが、わずかなその例外のひとつです。正味、ほんとうに、それだけ。
最近、文庫本では、名作文学を何とか若い人たちに読んでもらおうと、マンガ家に表紙画を描いてもらったり、タレントを起用して宣伝したり、という施策が打たれているようですが、こと出来れば、堅牢な本のほうが欲しい立場である学校図書館としては、ハードカバーの単行本のほうでそういう試みをやってもらえないかなーと考えたりするわけです。
文庫本の物理的寿命は短い。本当に短いです。紙質も良くはないし、フィルム装備をしていても、人気がある本はすぐボロボロになってしまいます。
長く所蔵したい図書館としては、それでは困るわけです。
長く書架に置けて、生徒の眼を引く美しい装丁の名作文学の単行本が欲しい。これは切実に欲しいです。
なければ作りたいくらい、これはニーズとしてある。
多くの学校図書館にも共通するニーズだと思うんですが、良心的出版社の皆様、考えてみてはいただけますまいか。
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