今私が身を置いている自治体の学校司書は、5年契約でひとつの学校の仕事をする非常勤職員です。
 雇い主は教育委員会。
 契約が満了したら、再度採用試験を受けなくてはなりません。どれほど実績を上げようが関係なし。それが決まりです。
 もちろん、採用に情実が(表向き)介入しない、という建前を守れるという利点はあるんですけどね。

 いっぽう、全国の自治体の中には、派遣会社と契約して司書を派遣してもらうかたちを取っているところも少なくないと聞きます。一校専任ならまだましな方で、複数校の兼任も珍しくはありません。

 残念ながら、現在のところ、わが自治体の場合、とりあえず専任司書を置いただけで良し、と考えているようです。

 その傍証はあります。

 何より、雇い主である教委は、司書に対して全く業務指導やチェックを行っていません。

 もっとも、指導やチェックを行うためには、学校図書館司書の業務を熟知した担当者が教委に居る必要がありますが、教委にはそうした人材は(1年半余りの業務を通して得た感触では)いない、と断言できます。

 民間のふつうの会社にできの悪い社員として長年働いた経験にかんがみれば、雇い主が従業員に対して業務に関する指導助言もなしにほったらかしにしておくことの異常さに対して、とても鈍感ではいられません。

 だってありえないでしょう? おかしいですって!

 「司書になる資格」はあっても、「学校司書」という公的資格は存在しないという日本の現状の中で、各々の司書は右も左も分からない現場に放り込まれ(たとえば、管理不在の無法地帯と化した図書倉庫状態の図書館とか)、必死になって実務を覚えながら改善を続けています。

 そうした仕事の結果は給与にも反映されず、叱責もされない代わりに褒められもせず。

 もしやる気のない人なら、図書倉庫の山の中で5年間をのんべんだらりと過ごし、何もせずに辞めていく……

 何とかならんもんか。

 「なに派遣!そんな安くていい仕組みがあったか」

 などと教委が思いつかないことを祈るばかりです。そうならないためには、お節介だろうが何だろうが、自治体の学校図書館全体の水準を上げていき「直接雇用の専任司書でなくてはならない」という説得材料を担保しておかないといけません。

 しかし、壁は厚いですねぇ……。
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2010.10.20 Wed l 図書館 l COM(14) TB(0) l top ▲

コメント

No title
「とりあえず置けばよい」という姿勢は,私は,指導ヤチェックよりも,研修の機会が保障されているかどうかが目安になるかなと思っています。
資質の向上にどれだけ予算を割いているのか。
こちらでは,年4回ある研修会のうち,学校司書さんが参加できる研修会は年に1回のみ。

事情が分からない人が,「的外れ」な業務指導やチェックをすることがあります。
以前,私の授業で,自然環境と生活との関連で自然災害の授業をしたら,「これは地理ではありませんね,地理とは世界の…」と,授業を観察した校長に言われたことがあります(私の方が地理のプロなのに!指導要領にも記載されているのに!)。
図書館に関しても,十分あり得ると思います。
2010.10.20 Wed l 地理. URL l 編集
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2010.10.20 Wed l . l 編集
研修の中身
 >地理さん

 研修も、本当に司書自身が切実に欲している内容のものなのかどうか、研修後に感想や要望などをきちんと集約する姿勢があるのかどうか、という点が抜け落ちていると、「何のための研修?」ということになりかねません。

 何といいますか、「ちゃんと司書のことも気にしていますよ」という姿勢をアピールするためだけの研修……になっていないか?ほんとうに司書のためになっているか?というあたり。

 実務的なことは司書自身の集まりでやって下さい、というのであれば、指導的立場を買って出る人間に対してそれなりの権限が欲しいところです。

 >あとのコメントの方へ

 教育委員会の方々は、個人的には善意にあふれた方たちだと思います。

 ただし、学校図書館の現場についてあまりにも知らなさすぎるし、学校によって司書の仕事に割ける時間が著しく少ない場合があることにも事実上ほっかむりをしてしまっています。

 何とかしてくれ!という声も、実際には非常勤という立場ではなかなか大きな声を挙げづらいのが現状です。

 当面やるべきことは、心ある有志の皆さんと繋がりを持って情報交換や勉強を続けて業務レベルを一生懸命上げていくことしかないです。

 その上でないと、専門職として胸張って意見が物申せないと思っています。
2010.10.21 Thu l keep9. URL l 編集
No title
すみません,少し言葉が足りませんでした。
私の言う研修は,もちろん,図書館のことをよく知らない「的外れ」の内容,形だけのものではなく,現場の方たちが「こういうことをしてほしい」と要望するものとか,主体的に企画するものとかです。
長崎の高校司書の研修(年3~4回)は,学校司書さんたちの自主企画です。
2010.10.21 Thu l 地理. URL l 編集
Re: No title
 >地理さん

 申し訳ないです。自分のいる自治体の状況がいつも頭にあるもので、少し突っかかったような返信のニュアンスになってしまったかもしれません。

 今まで教委主催の研修は1年10か月のあいだには1度だけでした(それも残念ながら、参考になったかというと……)。県SLA主催の研修は、現在司書のニーズに合うように改善の途上にあります。

 あとはわれわれ司書部会自身がどれだけ向上の意欲を持って自主的に研修を行って研鑽ができるかなんですが……
2010.10.22 Fri l keep9. URL l 編集
KEEP9さん同感です
「雇い主である教委は、司書に対して全く業務指導やチェックを行っていません。」
同感です。本当におかしいです!!
資格があるだけで実際の現場での勤務経験のない人や新卒の人、本当に困っているようです。私自身もとっても困りました、が、最近いくらかわかってきて、ちょっと一息。学校勤務の司書がみんなで月に1度集まり会合を持ちますが、いくらか先輩の他の学校の司書が、ちょっとした疑問に答えることはあっても、これまでのいきさつとか、細かいポイントを教えることはありません。私はこれではまずいと思い、スタッフマニュアルを作成して、日々の仕事の中で更新しています。これまでのことは仕方ないとして、自分からあとは一定の基準で運用できるようにと思っています。
会合では、「生徒指導は先生がすべきことであって、私たちはそこまでしてはいけない」と先輩の司書は言いますが、現場では、「人手不足だから、学校のスタッフとして、生徒が間違っていることをしているときは注意してほしいし、指導してほしい」とのことで葛藤しつつ、働いています。確かに教員でもないものが、生徒の指導はおこがましく、先生方がどう感じられているのかも気になります。
図書館業務はもちろん、学校で働く者としての基本的なことについてももっと市教委が教えてくれたらいいのになぁ~と思います。
2010.10.22 Fri l ありなみん. URL l 編集
Re: KEEP9さん同感です
 >ありなみんさん

 生徒指導の問題は、けっこうかなり私は割り切っています。もう43歳なんで(苦笑)、ただの43歳のオジサンであれば言うであろうレベルのことは言いますね子どもたちには。

 田舎の学校なんで、その辺は先生たちと司書の区分けはアバウトですね。生徒たちにとってはどちらも「せんせい」と呼んでる人でしかないし。

 マニュアルは、同じ校区の司書の先生二人と協力して作っています。やっているうちにどんどん項目が増えてきますが……(笑)。
2010.10.23 Sat l keep9. URL l 編集
No title
わたしも同年代のおばさんなので、かなり言う方だと思います。前任者も同年代の方でしたが、生徒指導は全くなかった、とのこと。司書は先生ではないからそうあってほしいのか、学校スタッフとして生徒には言った方がいいのか…、悩みつつ毎日過ごしています。
図書館の運営上のことも前任者とは考え方が違う?(ちょっと停滞していたような気さえしています)ので、遡及作業が大変です。一定のスタッフマニュアルは市教委が準備しておくべきものだと思います。これでは、スタッフによって各学校の図書館のレベルが変わってくるのでは?と危惧しています。
2010.10.23 Sat l ありなみん. URL l 編集
スタッフマニュアル
教育委員会に学校司書の経験者や図書館に熱心な方がいらっしゃらなければ,指導していただくこともできないし,スタッフマニュアルも用意されないでしょう。
長崎県の高校では,20年近く前に,学校司書の皆さんでスタッフマニュアルを作成しました。
6年前には,県北の学校司書の皆さんが改訂版をつくろうということになり,私も仲間に入れてもらってつくりました。
学校司書の皆さんでネットワークをつくっていくことが,教委に働きかけるよりも近道かも知れません。
2010.10.24 Sun l 地理. URL l 編集
いわゆる、公式マニュアル
 >ありなみんさん、地理さん

 地理さんがおっしゃるように、実際問題としては学校司書同士の話し合いで作る方が手っ取り早いのは事実だと思います。

 ただ、作成過程がそうであるとしても、現場の実務の積み重ねとしてのマニュアルが、教育委員会によって公式なものとして認められるかそうでないかは、自治体内のすべての学校図書館の業務水準を維持するという観点からするとかなり重要なのではないかな、という気がしています。

 出発点は自主作成でいいと思うのですよもちろん。

 しかしマニュアルが自主作成にとどまる限り、それは「やらなくてはならない業務」として位置づけられることはありませんし、いわば査定の材料にされることもありません。本質的な問題はここにある、と私は思っています。
2010.10.25 Mon l keep9. URL l 編集
No title
地理さん、KEEP9さん、どちらのおっしゃることもよくわかります。
スタッフマニュアルを司書ネットワークで作ることに関して私は賛成ですが、実際問題、同じ地域の司書の集まりではそのような関係が築けていません。担当がころころ変わる学校もあれば、10年くらい同じ方が担当されている学校もあります。そういうベテランの方が中心になってくださるといいのですが、年数が多いだけで、業務が一定の水準にある方ばかりではないようなのです。目録と検索について話し合ったときによくわかりました。わりと最近採用になった方がかなり詳しくされていたのを聞いて驚いておられましたので。それも帰するところ、研修や指導が徹底していないからだと思います。
そんな中で高レベルの業務をされている先輩の元に個人的に教えを請うている状態です。その方に中心に立って指導していただきたいのですが、自分よりも年数が上の方がいるのに・・・ということで、そこまではしていただけないようで停滞気味です。
私自身は以前、自然科学系専門図書館で長年業務をしていたのと、短期間ですが公共図書館はアルバイトで在職していたので、図書館業務ではプロだという自負はありますが、学校図書館では駆け出しです。
いつも、地理さん、KEEP9さんのブログを拝見して自身に喝を入れています。これからもよろしくお願いします。
追伸:KEEP9の精神を思い出して、最近通学バッグに、昔知人からもらった”9”のブローチをつけて通勤しています。
2010.10.25 Mon l ありなみん. URL l 編集
派遣の学校司書
KEEP9さんのおっしゃる複数校担当の派遣の司書です。
毎年、今の会社が入札できるかどうか3月になるまでわからずやきもきします。
派遣の怖いところは、一定水準に達しないと、学校から「担当者を変えてくれ」という苦情が入り、法律的にはどうなのかわからないのですが、担当を外されることもあります(苦笑)。
今の会社の場合は、学校司書を派遣することを専門にしているので、研修も充実していますし、会社のサポート体制もしっかりしています。なので、各校週1日でも、それなりの水準を確保しているかと思います。
マニュアルはA4で厚さ2㎝ぐらいなんですよ!
服装の注意事項、ブッカーのかけ方、ブックトークやアニマシオンの簡単な説明、分類の細目、年間通してこんな感じの業務を何回以上しましょう(コーナー作成など)とか、本当にいろいろ。
正直、ここまで必要?と思う事まで書いてあるのですが、今の若いマニュアル世代の方には重宝するらしいです。
隣の市の派遣を請け負っている会社は、お掃除が本業の会社なので、研修もなければ、マニュアルもないしサポート体制もないそうです。
派遣の面倒臭いところは、学校の図書室に対する要望より、会社と教育委員会の契約が優先されることかな~。
こんなこと、オープンな場所で書いたってばれたら、きっとダメだろうしね(^^;)
2010.10.26 Tue l さくらの葉っぱ. URL l 編集
人間関係というやつは…
 >ありなみんさん

 その煮え切らない状態、実によく分かります。

 男性女性ということで差別する意図はないのですが、「マニュアル必要でしょ?みんなで業務のたな卸しして作りましょうよ」というスジ論で言ったら本当にもっともであって「やる」以外の結論が出そうもない問題でも、ぜんぜん提案すら出来なかったりします。

 私も、自治体の司書の中ではただひとりの男性ですし、停滞ぶりには相当イライラしているほうだと思いますよ。キャリアが長いのにほとんど業務を知らない人、これは困りますね。

 司書は、勉強しなくては業務の向上はありませんが、勉強しなくても誰からも批判されないし給料も下がらない仕事でもあります。特に学校では。
2010.10.27 Wed l keep9. URL l 編集
Re: 派遣の学校司書
 >さくらの葉っぱさん

 くり返しになりますが、自主作成マニュアルが、教委の公式マニュアルとして認められて、業務の基準となること。今の自治体で勤務している私たちが目指すべきはこれかな、と思います。

 ただ、派遣会社が行っている業務チェックの仕組みは見習うべきだなーとも思います。チェックリストによる機械的なチェックだけでも結構効果があると思うんですけども。
2010.10.27 Wed l keep9. URL l 編集

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